心象のDX化


感動体験


 20世紀最大の文化史家であるヨハン・ホイジンガは、人間は「ホモ・ルーデンス(遊ぶ存在):1938年」、遊びで進化したと言いました。この思想には大きく共感でき、現在も余暇活動が生活の充実感や満足感に直結しています。

 余暇活動中には、数多くの出来事(インシデント)に遭遇します。インシデントは、意識とその反応により、先ず、第1段階の感覚反応としてヒトの5感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)で感知され、次に、第2段階の感情反応として、ヒトの感情に強烈なインパクト(衝動)を与えた時に、その瞬間の貴重な感動体験記憶のメカニズムに従い脳内に長期的に記憶されます。


心象


  感動体験は、ヒトの脳は80%以上が視覚情報を元に認識処理を行っているため、主に視覚センサーにより感知した心に映る映像(心象:Mental Picture)として記憶されます。換言すれば、心象は、その感動体験のついての5感の内、特に目で感知した映像イメージです。その他にも、耳の聴覚センサーによる音響、音声、音楽や舌の味覚センサーによる食べ物の味も感動体験の印象として記憶されますが、心象が主な記憶対象になります。


記憶忘却


  心象は、心の中に浮かぶイメージであり、断片的かつ曖昧なアナログ情報として脳内に記憶されます。脳内記憶は、記憶のメカニズムに沿って、大半は忘却曲線に従い一日経てば忘れ去られます。また、人の記憶力は年齢を重ねることにより徐々に劣化します。特に、高齢者は徐々に身体が委縮し脳の表面積も縮小するため認知症の発症リスクも増大し、長期記憶化されていること以外はほぼ忘却されます。


心象DX化



感情付き心象


  感動度が大きい心象は長期記憶として残りますが、感動体験が伴わない場合や感動度が小さいものは短期記憶として時間が経てば忘却される傾向があります。

 心象DX化は、感動体験時に発生した心象と感情を紐付けた「感情付き心象」をクラウドネットワーク上のストレージにデジタル情報として記録します。その結果、アナログ情報である記憶とは異なり、いつでも感動体験時のシーンを再生できると同時に繰り返し再生することにより脳内の普遍的な記憶にもなります。

 感情付き心象は、本来はプライベートな個人情報です。本人の許容範囲内で、家族や知人や見守り者等の仲間達に公開した場合には、自分の仲間達と感動体験の共有ができます。


生成方法


  感情付き心象の生成には、スマホ搭載のマイクロホンやカメラやタッチディスプレー、または、スマホとデータ連携化可能なウェアラブルデバイスのセンサーによるセンシング情報を活用します。感動体験発生時の心象や感情は、現時点では、心象はスマホ搭載カメラの撮影映像やスナップショット的な画像、感情は予め分類済の喜、怒、哀、楽や嗜好(好き、嫌い)等をスマホタッチディスプレーのタッチパネルで直接入力することを想定しています。