人は、5感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)によるセンシング情報を活用したパーソナルエリア内の周辺監視機能を備えています。また、モバイルユーザとして、スマホやタブレット等のネットワーク接続デバイスを介したインターネットアクセスにより、クラウドネットワーク上での情報の収集や他のモバイルユーザが発信した知識やエキスパートの匠の技(ノウハウ)等の貴重な情報の共有が可能です。
モバイルユーザは、自らの5感センシング情報に加えてインターネット経由で収集した外部情報を基に認知・判断能力を発揮して行動しています。
人の知的活動は、認知、判断、行動の3つのプロセスで構成されます。近年のAI技術の進展により人とAIの協調による効果的な知的活動プロセスの実施可能性が高まってきました。具体的には、先ず、エキスパートのノウハウをAIに機械学習させて、次に、そのノウハウや5感を含む監視センサーのセンシング情報を元に人とAIが協調して認知・判断します。最後に、認知・判断結果を基に人の行動に係る制御や誘導を行います。
外部情報の活用は、知的活動プロセスである認知と判断の能力向上に役立つと同時に知識の高度化に繋がります。また、今後、5Gから6Gへのモバイルネットワークシステムの高度化に伴い、外部情報の活用頻度が確実に増加します。さらに、CPS利用環境下でAIのビックデータの分析能力は日々向上します。その結果、モバイルユーザとAI間の情報共有度が飛躍的に増大し、自らの知能に加えてAIを活用することにより認知・判断能力の更なる向上が期待できます。
自分自身の体験を元に蓄積してきた知識を超えた広範囲かつ高度化された知識に裏付けられた効率的かつ効果的な知的活動が実行できます。 実際に災害発生時の想定外リスクに遭遇した際に、たとえ一個人の認知能力や判断能力が問題解決レベルに到達していない場合でも、高知能化されたAIにより認知・判断能力が補完され速やかに問題解決に繋がります。
知識の高度化は、個人だけではなく社会全体に非常に大きな相乗効果を付与します。5Gから6Gへの進展に伴う情報共有の加速により、自助だけではなく共助や公助による想定外リスク対策への拡張も容易になり安全性が確実に向上します。